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ときどき日記
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《 世情不安 》 |
[Vol.195/2023年11月] |
十一月になっても異常な暑さが続いておりますが、景気の方は余り熱気を帯びているわけではないようです。
市内の人出はインバウンドも含め非常に多くの入洛者でにぎわっておりますが、一部の観光業者以外は人手の割には売り上げが回復していないように思います。 先月もお話しした通りコロナ過の四年において世の中の常識が変化したように思われます。
人出は多くてもお金の落ち方が変わったのでしょうか、宴会や飲み会は徐々に復活しても二次会、三次会に繋がる風習がなくなったかのようです。
また、世界的な世情不安や著しい円安の影響による物価高が消費マインドを冷やしているようにも思います。 特に中東情勢は緊迫感が増しており、数年後に振り返ってみればロシアによるウクライナ進行が第三次世界大戦の始まりだったというような悲劇的な事態となるかもしれません。
帝国主義最大の戦争である第一次大戦、民主主義と全体主義の第二次大戦、そして専制主義と民主主義、加えて宗教戦争と考えればあながち楽観していられない状況です。
そんな大きなことを考えてもしょうがないのですが、盆明けの呉服業界における商戦は非常に厳しいものとなっています。様々な要因があるとは思うのですが、業界総じて苦戦しているようです。前述のようなこともあり、先行きの不安感は今までにないような感覚です。 呉服業界の消費が苦戦している一方で、産地の疲弊も日を追って激しくなっています。先日も業界を支えていただいている下職の職人さんの廃業が相次ぎ、現実的に生産が不可能になりつつ有るとの声が日増しに多くなっています。一方で究極に減り切ってしまった職種に於いては仕事量が増えているとも、下職さんの取り合いが始まったとの声も聴きます。
このような世情不安の状況ではありますが、長い歴史の上では今日以上の厳しい環境を乗り越えてきた業界の底力を信じ、継続してゆく術を見出していきたいものです。 「明けない夜はないのです」
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